誕プレコラボ─Kさまへ(その1) 

10月にお誕生日だったKさまことBちゃんへ(ややこしいなw)お贈りしたプレゼントその1です。

こちらはぴいこさんとダリ子のコラボです。
私が「こんな絵を贈りたい」と先に描いた絵に、後からぴいこさんにお話をつけて貰いました(*´ω`*)

その1、という事でその2もあります( ̄▽ ̄)

その2は、私の脳ミソが沸騰して湯気ふいたSSリレーです。
そちらはまた後日…








【戯れに】

 真紅の着物を身に纏い、夕鈴は少しだけ恥ずかしそうに微笑んだ。
 身体の線に沿う着物が、夕鈴の女らしさを際立たせる。腕輪や簪などの繊細で華奢な装飾具と、高価な絹で仕立てた着物はまるで、夕鈴が歩くたびに優しい音楽を奏でているようだ。

「おいで」

 優しく手を差し伸べられ、夕鈴はおずおずとその手を取った。

「きゃぁっ」

 そのまま力強く引き寄せられて、夕鈴は小さな悲鳴をあげる。けれど、転んだわけでも、抱きしめられた訳でもない。きっちりと繋がれた手。反対の手は背中に回されている。相手の体温が伝わるほどの密着。照れてほんの少し俯いた夕鈴の頬が赤く染まる。
 赤く染まったのは、頬だけでは無い。細い首や、剥き出しの白い肩までが赤くなり、まるで夕鈴を彩っているかのようだ。

 唇を寄せたい衝動を抱えている事など知らない夕鈴は、優しく導かれるままに舞い始める。恐々と運んでいただけだった足取りは、次第に軽やかになっていく。
 淡い桃色の羽衣、着物の裾、長い髪。それらは、夕鈴達が進路を変えるたび、一拍遅れて宙で舞う。



bp1




自然と笑顔になった夕鈴は、いつまでも舞いを…………」
「ちょっと待ってくださいっ!」
「へ?」

 饒舌に語っていた黎翔は、突然夕鈴に止められて驚いて振り向いた。

「どうかした?ゆーりん」
「どうかした?じゃありませんよ!
なんですか!その話は!!」
「次の宴の話?」
 そう答えて、黎翔は呑気にお茶を啜る。
「宴に参加出来るのは、正直嬉しいです。また私はお留守番で、陛下だけ宴で、その隣に綺麗な方々が座るのは、ちょっと……」
 もじもじと着物を弄びながら焼きもちをやく夕鈴がなんとも愛らしくて、黎翔は勢いよく席を立つ。
「あっ!お茶がこぼれちゃうじゃ無いですかっ」
 黎翔が抱きしめようとした事を察し、素早く釘を刺す夕鈴。黎翔は行く先が無くなった手を伸ばしたまま、しょんぼりして幻の耳を伏せながら尋ねた。
「嫌なの?」
「嫌、じゃ、ないです……」
 消え入りそうな声で夕鈴が答える。黎翔は、言い終わら無いうちに立ち上がると夕鈴を連れて長椅子へと移動し、そのまま膝の上に乗せて抱き締める。
「ゆーりんの焼きもち、嬉しいな〜」
「そんなにはっきりと言わないでくださいっ!恥ずかしいじゃないですか」

 恥ずかしい、とは言うが、焼きもちを否定しないところが嬉しくて、黎翔は夕鈴に頬を擦り寄せる。

「ねぇ、陛下。話を元に戻しませんか?」
「んー?元にって?」
「ほら、宴の話ですよ」

 放っておいたら、いつまでもそうしていそうな黎翔に、夕鈴は尋ねる。

「あぁ。その話」

 黎翔は、少しだけつまらなそうに言って顔をあげる。夕鈴は、離れてしまった距離が寂しくて、無意識に黎翔の手に手を重ねた。

「やっぱり宴は無しにしようかな」

 突然ぽそりと呟かれた言葉に衝撃を受けて夕鈴は、振り返る。

「えぇ?!なぜですか!?」
 そんな夕鈴の驚きなど、黎翔はどこ吹く風だ。
「えっと、私がさっき慌てたのはですね。突然、異国の舞いをしてと言われたからであって、宴が嫌とか、そんな我儘は言ってませんよ?そりゃ、陛下のお側に綺麗な舞姫たちがいるのは嫌ですけど。
 いえ、そうじゃなくて。私、お仕事はきちんとしますし、お仕事じゃなくても陛下のお側に居ますから。お仕事の邪魔になるような事はしませんから、だから……」
 しどろもどろになりながらも、夕鈴は必死で説明する。その言葉を聞きながら、黎翔は「あー、もう、ずーっとこうしていたいなあ」と呟く。

「陛下?聞いてますか?」
「うん。聞いてるよ?そんなに慌てなくても大丈夫。もともと宴自体、本当にするかどうかも怪しいから」
「え?」
「順を追って、説明するね」

 話の展開についていけず、目をぱちくりさせている夕鈴の髪を弄びながら、黎翔は説明する。

「異国の旅一座が近隣国を回っている事は知っている?」
「はい」
「その一座から、夕鈴にって着物が献上されたんだ。それを着て共に踊りましょうという手紙が添えられていたらしくて」
「それで異国の踊りですか?!」
 慌てて振り返る夕鈴を見て、黎翔はくすくすと笑う。
「うん。宴でゆーりんと踊れたら良いなあと思ったんだけど、その一座の良くない噂も聞いてね」
「?」
「宴や興行に人々が出払っている隙に、一座の仲間が盗みを働いているらしいんだ」
「えぇ?!」
「だから、宴を開いて誘き出そうかと思ってた」

 華やかな宴の支度とはまるで違う裏側を知り、夕鈴は眉を顰める。黎翔はそれを読み取り、安心させるように優しくその頬を撫でる。

「けど、そんな面倒な事はしなくても良いって気がついたんだ。
 お願いしたら、夕鈴は宴なんて無くても異国の着物を着てくれるかなーって」
「そっちですか?!」
「そうだよ。そうしたら、夕鈴の可愛い姿を誰かに見られる心配もなくなるし」
「そんな……」
「ダメ?」
「駄目、じゃないですけど……」
「本当?」
 ぱあぁぁぁっ!と輝いた黎翔の笑顔に、夕鈴は手間のかかる弟を見るかのように笑う。
「夕鈴なら、そう言ってくれると思って、持ってきたよ」
「えぇ?!今着るのですか?!」
「うん!」
 夕鈴は視線だけで抗議するが、幻の尻尾を全力で振る姿に断わりきれず、渋々頷いた。
「分かりました。慣れない着物なので遅くなるかもしれませんが、
待っていてくださいますか……?」
「もちろんっ!」
 黎翔の全開の笑顔に、夕鈴は困った様に、それでも少しだけ嬉しそうに息を吐いた。
「では、失礼します」
 笑顔で手を振る黎翔に見送られ、夕鈴は入り口近くに置かれていた衣装を取ると寝所へと入っていった。


 着物は何とか身にまとう事が出来た。しかし、剥き出しになった肩に恥ずかしさが募ってしまう。夕鈴は幾度も角度を変えて鏡に映し、自分の姿を確認する。
 何度確認しても自信は持てないが、いつまでも黎翔を待たせる訳にはいかないと、夕鈴は勇気を振り絞って寝所を出た。

「陛下、お待たせしました」

 声を掛けたが、黎翔には届いていない様だった。長椅子に脚を組んで座り、頬杖をついている。その瞳は何処かを見つめている様であり、それはこの部屋の中ではない何かなのだろうと夕鈴は思った。心が何処か遠くにある様だ。

「陛下」
 黎翔が夕鈴に気がついたのは、夕鈴が目の前まで歩み寄ってからだった。
 黎翔は眩しそうに目を細めると、小さく呟いた。
「綺麗だ」
 その言葉は、思わず溢れてしまった様だった。黎翔が差し出した手に導かれるままに、夕鈴は距離を詰める。黎翔はそれすらも待ちきれずに、夕鈴を引き寄せた。


bp2


 鋭い瞳に見上げられ、夕鈴は思わず息を飲む。吸い込まれる様な紅。その色は、鋭さだけではなく切なさも秘めている。

 先程も、自然と話題をすり替えられてしまったことを、夕鈴は気がついていた。陛下は優しい。だから、一歩も二歩も、物事の先を読んで自分を守ろうとしてくれているのだと思う。
 自分になにができるかを聞いてみたい。けれどそれを聞くことで余計に、気を使わせてしまう事になるのかもしれない。
 どこまでも堂々めぐりを繰り返してしまいそうな思考に蓋をして、夕鈴はにっこりと微笑んだ。

「似合いますか?」
「勿論。我が妃を皆に自慢をしたいが、誰かの目に触れるのが勿体無いほど愛らしい」
「ありがとうございます」
 何度聞いても、黎翔の褒め言葉は何処かくすぐったい。
「満足されました?」
「少しは」
「少し、ですか?」
「そうだ」
 不安に顔が曇る夕鈴を、見上げて黎翔は余裕たっぷりに笑う。その顔を見て夕鈴は安心した。憂い事を、少しは忘れてくれたらしい。
 どうか今だけは、全てを忘れて言葉遊びを続けましょう?
 夕鈴はそれだけを思い、言葉を紡ぐ。
「あとは、なんです?」
「あとは、ーーーー君だ」
「私?」
「あぁ」
「どうしたら?」
「私と踊ってくれるか?」
「え?!踊るって、きゃあっ!」
 黎翔は立ち上がろうとした。その黎翔に寄りかかっていた夕鈴は、支えを失い体勢を崩す。そのまま二人は長椅子にもつれ込んだ。

「もう、陛下ったら」
「ごめん」
「駄目ですよ」

 夕鈴は、頬を膨らませる。言葉遊びは、まだ終わらない。

「せっかく頑張って着たのに、着物も髪もぐしゃぐしゃになっちゃいました」
「そうだよね」
 夕鈴を見下ろす形のまま、黎翔はしょんぼりと落ち込んでいる。尋ねるのは、今度は黎翔の番だ。
「どうしたら許してくれる?」
「分かりませんか?」
「…………、うん。教えて」
「もう、しょうがないですね」

 夕鈴はそう言って、静かに瞳を閉じる。愛らしい兎のおねだりに、狼が抗うはずも無かった。




*-*-*-*-*-*



改めて、Bちゃん、お誕生日おめでとーでしたーん\(^o^)/


(2015/10)


コメント

こんばんは~( ´ ▽ ` )ノ

うひょうひょ!(*≧∀≦*)

おこぼれゴチでございます!美味しくいただきました~(●´q`●)もぐもぐ

Kらあげ様お誕生日おめでとうございましたヾ(*´∀`*)ノ



RONさまへ

もぐもぐありがとうございました(*´ω`*)
コラボと称して楽しんでるだけなんですがw
うひょひょw
しゃるうぃーだんすなご夫婦を描きたかったのです☆

慎さまへ

Bちゃんがいつもほわっと塗りを気に入ってくれているので、ほわっと塗りを目指しました(^_-)-☆
ほわっとして頂けたら本望です…!w
お粗末様でございますm(__)m
  • [2015/11/04 09:51]
  • URL |
  • ダリ子(拍手コメ)
  • [ 編集 ]
  • TOP ▲

とおさまへ

ふお…!そんな嬉しいことを言ってくださるとおさまが好きですっ
泣きそうです!←
心音。もありがとうございます(*´ω`*)
拍手ポチひとつでとても嬉しいのですが、コメントまでありがとうございます…!
  • [2015/11/04 09:55]
  • URL |
  • ダリ子(拍手コメ)
  • [ 編集 ]
  • TOP ▲

ごちそうさまです~。
今度の宴の衣装がこんな感じだったら神ですね。ふふふ。

ますたぬさまへ

はっ∑(゚Д゚)
何か期待されている!?
これはまたこっそり、お伝えしておきますね!

(*ノ´□`)ノ<$%〒☆→⌘♬

皆さんには内緒ですよ!←

…お粗末さまでした♪∩( ´∀`)∩

まるねこさまへ

こっそりくださっても、堂々とレスしちゃいますYO…!←
どうもお粗末様でございますm(__)m
素敵なお話を書いていただけて、私が一番のおこぼれキャッチャーなのです( *´艸`)ふふふ

あれ?まるねこさまの絵はまだですか?←
  • [2015/11/08 04:10]
  • URL |
  • ダリ子(拍手コメ)
  • [ 編集 ]
  • TOP ▲

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する