紅い華 2 

軍服パロ










かなめ様からいただいてきたお話続きです(*^▽^*)



もう挿し絵とか邪魔でしかないですけど、そこはご愛嬌ということで・・・すみませんm(__)m




楽しく描かせていただいてます・・・
ニヨニヨしながらです・・・・←











紅い華 2






「聞いたか?」
廊下を進む彼女の耳に届く噂話。
いつものことと、気にも留めずに先を目指す。


「"狼陛下"が西の反乱を一日で鎮めたらしい。」
ぴくりと、彼女の耳が反応した。

「ああ。しかも少数精鋭で殲滅だとか。」
「最高司令である"狼陛下"自ら前線に出られたと聞いたが。」
「鬼神のごとき強さだったとか。」

次々と入る情報に一瞬足が止まるが、再び何事もなかったかのように歩き出す。


…いや、心なしか早足になって。






「司令!」
些か乱暴に扉を叩き、返事が返ってくる前に彼の執務室に飛び込む。
たまたま李順が不在だったため、叱責は飛んでこなかった。

「夕鈴」
書類から顔を上げた彼は、難しい顔から一変して穏やかな笑みを夕鈴に向けてくる。
さらには大切であろう書類を机上に放り出し立ち上がり、息を切らした彼女のそばまで
一直線。

「―――今日も一段と可愛らしいな。」
宥めるように背中を撫で、柔らかな髪を梳いて、いつものように甘く囁く。
普段の夕鈴なら、ここで真っ赤になるところ。
「お世辞は今 どうでも良いです。」
けれど今回は赤くもならず、動揺することもなく、いつもと同じだしとそれをすぱっと
切り捨てて。
「それより、前線に出られたって本当ですか!?」
相手が誰かもお構いなしに襟を掴んで詰め寄った。

「本当ですか!?」



紅い華2-1



「……噂は広まるのが早いな。」
視線を逸らし、彼は軽くため息をつく。
否定されなかったことが腹立たしく、夕鈴はさらに目をつり上げた。

(行く前に、あんなに約束したのに!)

「無茶はしないでくださいと言ったじゃないですか! 貴方はこの軍の最高司令なんです!!
何かあったらどうするんですかっ!?」
「だってー…」
怒濤の勢いで怒ると、しょげた小犬が表に出てくる。

(うっ それは卑怯です―――!)

そうなると夕鈴は強く出れなくなるのだ。
絶対わざとやってるとしか思えないのだが、分かっていてもどうしても勢いは弱まってし
まう。
「あの作戦は僕がいないと駄目だったし……」
「うっ で、でもですね…」

「―――その作戦を考えたのはてめーだろうが。」

「!」
二人の後ろで扉が開けられ、入ってきたのは彼女の幼馴染。
がばっと振り向き、彼の方も睨みつける。
「几鍔! アンタも止めなさいよッ」
「止めても聞かねーだろ。言って聞くようなヤツなら、最初からこんな作戦立てない。」
視線を戻し、再び陛下の方をじろりと睨む。
一度は弱まっていた怒りが再燃し、そうなると小犬でも勝てなかった。
「ゆ、ゆーりん… あの、」
夕鈴の本気の怒りには、狼陛下と呼ばれる彼もたじたじだ。


「怪我は、してないんですね?」
「…え?」
怒られると思ってビクビクしていた彼が、思ったよりも静かな声の夕鈴にキョトンとなっ
た。
「どこも、何ともないんですか?」

彼のことだから大丈夫だとは思うけれど、確認のために問う。
自分のことを大切にしない人だから心配なのだ。

「―――うん。部下が優秀なおかげでね。」
肩をすくめて笑う彼のどこにも嘘は見えなかった。
「良かった…」
その答えに安堵して、夕鈴は肩の力を抜く。
足の力も抜けそうになったけれど、彼が支えて抱きしめてくれたから床に尻餅を付くこと
はなかった。


さっきの噂話を聞いて、いてもたってもいられなくて。
だから、ここまで急いできた。

…不安だったの。
最高司令だからとかそういうのは関係なく、この人に何かあったらって思ったら…怖かっ
た。


「…俺への心配はねーのかよ。」
人がせっかくしんみりしていたのに、後ろから情緒の欠片もない声がかかる。
そういえば、コイツがいるのを忘れていた。
「アンタはこの程度じゃ死なないでしょう?」
後ろを再びふり返り、呆れ顔の相手を見やる。

コイツは殺しても死なないだろうから心配なんかしていない。
むしろ、最前線で突っ込んでいけばいい。

「!?」
もう一歩前に出ようとしたところで突然後ろに体が傾く。
そうして再び彼の腕の中に抱き込まれた。
「?? 司令…?」
覆い被さるように抱きしめられて、肩口にぽすんと頭が乗る。
首筋に彼のサラサラの髪があたってくすぐったかった。

「ずるい。二人ばっかり仲良くして…」
「……は?」
拗ねた小犬が見当違いなヤキモチを妬いている。

(誰と誰が仲良しですって? あり得ない!!)

「どこがですかっ! 誰がこんなヤツと仲良くしますか!」
「んなわけねーだろ! 誰がこんな可愛げのないガキと仲良くするかよ!!」
彼が言わんとする意味が分かり、二人同時に叫んで睨み合う。

……と、広い手のひらが夕鈴の視界を覆った。

「ダメ。僕以外見ないで。君は僕のお嫁さんでしょう?」
「お嫁さんじゃありませんよっ 婚約者候補です!!」
「勝手に決めんな! 認めねーって言ってんだろうが!!」
「アンタは私の父親か!」
「お父さん、娘さんを僕にください。」
「ダメだって言ってんだろうが!」

「娘さんを僕にください」


紅い華2-2



「……何を騒いでらっしゃるんですか。」

ぎゃいぎゃいと騒がしい会話は、李順が戻ってくるまで続いた。





(おわり)










SNS2014/06/15




→続きます!

紅い華 1 

軍服パロ








SNSでかなめ様に軍服話書いていただきました!


連載ではありませんが、小ネタをちょこちょこ、いちいち挿し絵を描かせてもらっちゃってます!


私はシアワセモノです~(≧▽≦)



しっかり転載許可もいただいてきました♪











紅い華 1






「―――さて、」

パシ

殺風景で無機質な空間に乾いた音が響く。
そしてこの場を支配する者の声もまた、氷のように冷たい。

「私が納得できるような理由を聞かせてもらおうか。」

パシッ

手で遊ばせていたものを止め、紅い瞳が目の前の男を射抜く。

「几鍔?」



紅い華1-1


玉座に座するかのように優雅に腰かけ高く足を組むのは、この軍の最高指令である珀黎翔。
作戦の成功率はほぼ100%といわれるが、相手を完膚なきまでに叩き潰す手腕と自他に厳し
いその態度から冷酷非情の狼陛下と恐れられる男だ。

その前に立つのは、戦闘能力は軍でも指折りと言われる軍人、几鍔。特に射撃の腕は他の
追随を許さない。
性格の方は、情に厚く目上の者にも物怖じせず、部下への面倒見の良さから、年上からも
アニキと慕われている。
今も、黎翔を前にしていながらそっぽを向くという、他人には到底真似できないことを
やってのけていた。

「むしゃくしゃしてただけだっつってんだろ。」
「……それで2人も病院送りか?」


―――派手な喧嘩だった。
一人は腕の骨を折り、もう一人はあばらを折った。他にも怪我人は多数。
対して几鍔は一人だったのにも関わらず無傷。

その結果が物語るように、元から力量の差は誰が見ても明白だ。いくら馬鹿でもわざわざ
喧嘩を売るようなことをするだろうか。
しかし、その発端については男達も几鍔も黙秘を続けている。


「君は理由もなく手を出すような人間ではないと思っていたのだが。私の買いかぶりだっ
たか。」
「……てめーに買われても嬉しかねーよ。」

「几鍔殿! 口を慎みなさい!」
今まで黙って黎翔の隣に立っていた副官の李順が、あまりの不敬に怒りを露にする。
しかしそれを黎翔が片手で制した。

「良い。言うつもりがないのなら、相応の処分を下すだけだ。」
屈しない几鍔が面白いのか、黎翔は狼陛下の名に相応しい酷薄な笑みを浮かべる。
李順は青ざめ一歩下がり、几鍔は横を向いたまま黙秘を貫く。

パシッ

もう一度音が響いて、

「では、君の処分を―――」


「待ってください! 違うんです!」
二人の目が合ったその時、出入り口の扉が壊されそうな勢いで開かれた。

「待ってください!」


紅い華1-2



栗色の長い髪がふわりと揺れる。
カツカツとヒールの音を響かせて、膝丈のタイトなスカートをものともせず、少女は二人
の間に割って入った。

「夕鈴?」
意外な人物の乱入に黎翔は目を瞬かせる。
彼女は几鍔を庇うように両手を広げて黎翔と対峙した。

「お前っ 来るなっつったろだうが!」
几鍔が肩を引いて退けと言うが彼女は引かない。
冷酷非情の狼陛下を真正面から見据えて続ける。
「几鍔は何も悪くありません! 私を庇ってるだけなんです!」

「……ほぉ。その話を詳しく聞かせてくれ。」
夕鈴の訴えに興味を示した黎翔が続きを促す。
慌てたのは几鍔だ。
「ば……っ 止めろ!」

「最初に私があの人達を怒鳴ったんですっ」
止めようとする几鍔の手を振りほどき、夕鈴はさらに声を張り上げる。
李順が目を丸くする隣で、黎翔はなおも楽しげに口端を上げた。
「何故?」
「だって、あの人達が貴方のことを悪く言うから… 私、許せなくて……それで言い返した
ら、1人が手を振り上げてきて、几鍔がそれを止めてくれて。だから、彼は悪くないんで
す。私を助けただけなんですっ」


彼女の答えは黎翔が几鍔に尋ねた問いの答えでもあった。
黎翔が納得のいく理由を。
やはり、理由なく力を行使する男ではなかったのだと。

―――そしてまた、この答えは黎翔を別の意味でも喜ばせた。


「さすがは私の婚約者だな。」
彼女の登場から和らぎ始めていた雰囲気がさらに優しくなり、黎翔は愛しい少女に甘い微
笑みを向ける。
そして彼女の顔が真っ赤になると、満足げに副官を振り返った。
「愛を感じないか? 李順」
完全に惚気としか受け取られないそれに、話をふられた李順は深い溜め息で返す。
「……まだ候補です。」
「だが、私はもう夕鈴と決めた。」
「俺は認めてねーぞ。」
待てコラと几鍔も口を挟んでくる。
しかしそれで聞くような黎翔でもなかった。
「君が認めようと認めまいと、夕鈴は私の花嫁となる。」

そうして立ち上がると、くっつきすぎだと几鍔から夕鈴を引き剥がし、自分の腕の中に収
める。
「~~~ッ」
恥ずかしさに暴れだす彼女を難なく押さえ込んで、几鍔に意地の悪い笑みを向けた。

「―――君にも、思っていた以上に私は愛されていたんだな。」
相手の男達を病院送りにするほどには、と。

「誰がだ! だから言いたくなかったんだよ!」


几鍔の怒声と黎翔の笑い声と、そして李順の溜め息が重なった。





(おわり)






紅い華1-3


おふざけギャグでこんなのも送り付けてしまっておりました( ̄д ̄)







SNS2014/06/10










→続きます!



軍服パロ 

軍服着てます。
黎翔、几鍔、夕鈴








いつかは描いてみたい何か、のひとつに

軍服 がありまして・・・・








勢いで描いてみました(*ノωノ)






最近気になるアニキと一緒に・・・

軍服

ホント勢いで描いたので細かいところは色々きっと変ですが見逃して下さい・・・!










SNSでは軍服と言えば偉大なるお話がありましたので(笑)

そこでの夕鈴さんは女中さんです。

妄想は連なる・・・

女中夕鈴 



















そしてちょっとあざとさ狙った夕鈴さんも描いてみました。

あざとい嫁

裸のつもりだったんだけどそこは誰もツッコんでくれなかったなぁ・・・
(わかりにくい←)


















いただいたコメントに調子に乗ってこんなのも描いてみました。

軍服2

「…私の分も残しておけよ。」
「けっ。テメエがくたばってなければな」


…とかなんとか///
















アニキを描くのが楽しくなってきてどんどん調子に乗っちゃいました・・・

あざとい几鍔

あざとさ狙ったアニキです(*´ω`)

腹筋番長の絵をお手本に描きました。


SNSにはいろんな分野の番長がおられますwwwwwwwwwwwwww














これらを描いていたのが娘&息子の誕生日でした(一日違い)。

母、なにやってるの・・・



でも楽しかったの・・・ごめんね←

来年はちゃんとケーキ焼くから・・・!(*ノωノ)











そしてこのイラストから、軍服パロ話を練りだしていただいたりしました!

私ってばシアワセモノ・・・!


という事で軍服ネタはまだ続きます('ω')













SNS2014/06/02

泣いてるっぽいの。 

原作寄り・・・かなぁ?←
夕鈴




これは、SNSで10,000hit踏み抜いていただいた白友さんからのリクエストです。


※夕鈴さん泣いてます。









リク内容はある方がある方に贈った限定SSの1シーン、だったのですが

どこかでは読めるお話ですwwwwwwwww






夕鈴さん泣いてますが一応ハッピーエンドなお話です。







ただどんな状況でもお妃様を泣かせるなんてけしからん!な方はレッツリターン☆彡です!












こんな感じです。

10000リク

おナミダキラキラ目指したんですが迷走しまくってしまいました・・・



参考にしたお話が限定モノなだけにSNSではUPしてません~




2014/06/15






海っぽいの。 

原作・・・寄り??
夕鈴






何故か海の中の夕鈴ですw






もっとこう・・・ぱあああと花開くように描きたかったんですがね。




水中花目指したんですがね。






限界でした(色々とw)



水中花


水泡を綺麗に描きたくて試行錯誤して

結局描ききれなくてシャボン玉ブラシ使いました・・・


もっと自力で色々描けるようになりたいなぁ。


小さくて大きい野望のひとつです('◇')ゞ




SNS2014/05/30





お礼です~4 

どうもです!

いつもありがとうございます!




ポチポチ拍手ありがとうございます(≧▽≦)


コメントもありがとうございます!



とにかくありがとうございます!←



とは言えまだ自分の中では試験運用中のブログなのです。


こんな描き散らかしたラクガキを公開してどないせえっちゅうねん、とセルフツッコミしながら記事書いてます。



私的にはPCの中の整理ができて都合の良い本当に倉庫扱いなのですが・・・


やっぱり何かしら反応をいただけると嬉しいなぁと喜んじゃいます( *´艸`)


と、言うことで何度も言いますが皆さんいつもありがとうございます\(^o^)/



ひゃほー!


お礼用イラスト

ラクガキは毎日しております。
ちまちまちまちま。

これが私の楽しみ、ストレス解消な時間でございます。


おチビのお昼寝の合間とか、家族が寝静まった夜中とか・・・www


















制服夕鈴(現パロ) 

現パロ
夕鈴



季節感をまるっと無視してw






SNS白友さんより、お宅の現パロ設定の制服夕鈴を描いて欲しい、と言われまして。







※東屋かどこか外で、どこかに腰かけている
※落ちてくる紅葉に手を伸ばしている
※あるアニメの学校の制服を参考に

というご希望に沿って描かせていただきました(*'▽')





制服はご指定アニメのものをそのまま参考にさせていただきました!





そのアニメではおいしい腿(もも)丸見えの超ミニ丈ですがねwww



紅葉制服


ご要望に近い仕上がりが出来たようで喜んでもらえて嬉しかったです~




制服とかあまり描く機会ないので楽しかったのです☆彡




そのアニメも、実在する学校の制服を参考にされたとか、です。



可愛い制服の学校、おいしいですなぁ(オヤジ目線←









2014/03


頂ききれなかった2 

こちらも諸事情によりw


挿し絵として描かせて頂いた絵だけを載せようと思います。



SNS白友さんの、お誕生日プレゼントとして他の描き手さん・書き手さんとコラボさせてもらった作品です。



みんなでひとつのものを創り上げるって楽しい作業ですね~(*^▽^*)

まとめ役の方は大変でしょうけど(汗






原作寄り
黎夕

・・・の、お話(またw←






**********


誕生花の「風船唐綿(フウセントウワタ)」の綿毛が舞うところ。

コラボ1



誕生石「オニキス」を誂えた腕輪を贈るところ。

コラボ2



いろいろと端折ってすみません( ̄▽ ̄)

ステキなお話なんですよ~





2013/11頃



頂ききれなかった1 

頂き物SSで括っておりましたが



諸事情により、挿し絵として描かせていただいた絵だけ載せます。



諸事情・・・微妙に続き物の一部、とかまぁ然るべき処でお読みいただけるしな、とかとにかく話が長い、とかそんな事情ですwww






原作寄り
黎夕

・・・・・の、お話←適当だな!




どんなシーンからのものか、部分的に抜粋させていただきます。






いつもありがとう!るる様!




********




黎翔は夕鈴の頭に頬を寄せ、優しく撫でた。
手触りの良い髪が心地よい。

深闇1

黎翔さん、(ふふ、可愛い)なんてほくそ笑んでますw





少し離れた回廊まで来ると一度短く目を瞑り、その次の瞬間隠していた怒りを露にした。

深闇2

黎翔さん激おこですよ~w






顔中に口付けを落としていると、夕鈴が擽ったいと言った。
自分が触れるのを当たり前に受け入れるその姿に内心驚きつつも喜びが隠せない。
覚醒しきっていない夕鈴は羞恥心をどこかに忘れてきたようだ。
それとも夢だと思っているからなのか。
ゆっくりと唇を指でなぞっても嬉しそうに笑うばかりで抗いもしない。

深闇オマケ

いろいろあって(すっとばしw)愛でてる愛でてる( *´艸`)





ホント挿し絵とかいつも勝手に描いて送り付けてごめんなさい(>_<)
そして「どのシーンが(描いても)いい?」と伺ったところであんまりその通りに描かない(描けない)という←


素敵SSを書かれる、るる様は
絵もお上手なんですよ~
羨ましいですね~

書いて、描けて!


私も文才欲しいよ~(画才はもっと!)





描いたのは2013/12頃かな?

渾身 

原作寄り
黎夕








またもやぴいこ先生に唆されました・・・



堪らんです!

可愛いお話に挿し絵描かせていただきました~
\(^o^)/






【渾身】


「君の仕事は、なんだ?」
「縁談よけの為の、臨時花嫁。です」
「では、どうすべきか。わかるな?」
 政務中の様な狼陛下に詰め寄られ、夕鈴の背中に冷たい汗がつたう。
 迫り来る足音。夕鈴が選択する時間は後わずかしか無かった。



 時は数刻前へと遡る。



 普段通り、朝の支度をしようとしている夕鈴の元へ、普段より少し煌びやかな衣装を手に侍女達がやって来た。

「お妃様。本日はこちらを身につけるように、と申しつかっております。」
「そう。今日は何かあったかしら?」
 自分の記憶では特に予定はなく、掃除をしようと思っていたのだが。
「はい。急なお客様がおみえとか。わたくしも詳しくは存知上げないのですが……」
 申し訳なさそうに侍女は頭を下げた。
「いいのよ。陛下にお尋ねするわ」
 夕鈴は微笑みかけると、手早く着替えを済ませる。侍女達に丁寧に髪を梳ってもらい、花をさすと黎翔の部屋へと向かった。

 その途中の回廊で、李順と出会った。李順は、夕鈴をまじまじと眺めると「及第点、ですかね」と呟いた。李順は、夕鈴を迎えに来たのだ。
「李順さん。お客様がいらっしゃると聞いたのですが、どんな方なのですか?」
「その件ですが、歩きながらでお願いします。もう来ているので」
「はい」
 眉を顰めた李順の後ろを、夕鈴は神妙な面持ちで、大人しく付き従った。その様子を見た李順が口を開く。
「……、そんなに身構える事はありません。貴女にしていただきたいのは、普段通り縁談を断る事です。ただ……」
「ただ?」
「いえ。とにかく頼みましたよ。」
 そう言うと、陛下が謁見している部屋の前で李順は引き返す。
「失礼いたします」
 夕鈴が戸を開けると、「貴女が妃なの?!」と、驚いたように非難する女の声が響いた。
 いや、正しくは女の子、と、言うべきか。黎翔の対面に、父親であろう大臣の隣に座っているのは、黎翔の年の半分も達していないような幼女だった。
 縁談相手はどこなのかしら?夕鈴は、控えめに辺りを見回すが、控えている次官の他に居るのはこの親子二人だけだ。
 状況がつかめず夕鈴は、おずおずと黎翔の元へと歩み寄る。
 黎翔は、嬉しそうに少しホッとした様に夕鈴を膝の上に抱き上げた。

 思わず、ぎゃっと叫びそうになるのを夕鈴は堪えたが、赤くなる頬は抑えられない。
 そんな二人の様子を見ていた少女は鼻で笑うとこう言った。
「後宮の悪女も対したこと無いわね。やっぱりわたくしの方が何倍も陛下に相応しいわっ」
「これっ!何てことをっ!」
 隣で父親が慌てて嗜める。黎翔は、遠慮なく少女を睨みつけた。
「ほう……。我が妃を愚弄するか……?」
 並の官吏ならば倒れてしまいそうな冷たい怒気。夕鈴は慌てて黎翔の頬に触れて微笑んだ。
「私なら平気です」
「優しいことだ」
 黎翔の纏う空気が優しくなり、室内に居た全員がホッと胸を撫で下ろした。少女以外は。
 肝心の少女はケロリとしていた。父曰く、年の離れて出来た末妹であり、甘やかし過ぎたらしい。それ故、自由奔放であり、叱られ慣れてしまって居るのだ。それに、幼い故の怖いもの知らずなのも重なった。狼陛下の冷気を「知的で冷静でかっこいい」と、絶賛して居る。
 夕鈴は、僅かなやりとりで李順の憔悴振りが納得できる気がした。

「私は、末姫を妃に娶る気はない。それは分かるな?」
 黎翔が改めて言う。妃を娶る理由は、政略的なものや金銭的なものなど様々あるが、中でも大きいのは世継ぎを授かる事だ。どう考えても今の末姫には不可能だ。

「重々承知しております」
「では、本題にうつるか」

「え?」
 戸惑う夕鈴に、黎翔は耳打ちした。
「本当は、大臣を別の用事で呼んだんだ。だけど末姫が着いて来てしまったらしくてな」
 困った様に狼陛下で見つめられ、夕鈴の胸が高鳴った。
「話をする間、末姫と過ごしていてくれるか」
「はい」
 夕鈴は思わず引き受けてしまった。


「どうぞ。お口に合うといいけれど。」
 夕鈴は、お茶を淹れて末姫にさしださした。
「まあ、お茶の味は合格ね」
 末姫は、偉そうに言う。
「けれどやはり、陛下にはわたくしの方が相応しいわっ」
 幼い少女がきっぱりとそう言うのが、まるでママゴトの様で愛らしく、夕鈴はつい微笑んだ。それが、末姫には勘に触ったらしい。
「貴女、わたくしを馬鹿にしているの?!」
「い、いえ。そういうつもりじゃ……」
「だってそうじゃないっ!いわば、競争相手とも言えるわたくしに微笑みかけるなんて、大層余裕がお有りなのね。たった数年早く生まれたというだけで」
 睨みつける末姫。夕鈴は言葉に詰まった。今はまだ、確かに陛下の妃と言うには幼な過ぎるが、あと数年もしたら二人の年の差など、気にならなくなるだろう。
「それに、どうして陛下に抱きしめられたのに、あんなに身体を硬くしていたの?好きな人に触れられたら、もっと嬉しいはずだわ。誰かが見ているから恥ずかしいとか言うのは、陛下以外の事にきをとられている証拠よ!
 わたくしはそんなことしない。だからわたくしの方が陛下に相応しいのよ」
 夕鈴は言い返せなかった。全くその通りだ。幼いが故、まっすぐで純粋なのだ。誤魔化しは効かない。
 夕鈴は本音で答えることにした。
「確かにその通りね。けれど、私は陛下の為にお側に居たい」
「陛下の為だなんて……」
 口を挟もうとした末姫を夕鈴はまっすぐ見据えた。
「それに、陛下を思う気持ちでは、負けません」
 それは、夕鈴の素直な気持ちだった。
「ふんっ!そういう顔もできるんじゃないっ」
 末姫は、少し悔しそうに鼻の頭に皺を寄せると部屋を飛び出した。

「待ってっ」
 慌てて追いかける夕鈴。末姫は足が速く、直ぐに見失ってしまった。
 とにかく闇雲に、回路を走っていると、不意に腕を掴まれた。

「何をしている?」
「陛下っ!申し訳ありませんっ!末姫が……」
「それなら心配ない。もうすぐここへ来るだろう」
「え?」
 改めて辺りを見回すと、大臣と謁見した部屋の前だった。父に会いに来るのか、それとも狼陛下か。ともかくいつの間にか追い越していたらしい。
「末姫の様子はどうだ?」
「それが……」
 幼女に気迫で負けたなどとは言いづらい。まごつく夕鈴に、黎翔は余裕たっぷりの笑みでこう言った。
「口で勝てぬのならば、態度で示せば良い」
「態度で?!」
「君の仕事は、なんだ?」
「縁談よけの為の、臨時花嫁。です」
「では、どうすべきか。わかるな?」


 本当は、末姫が黎翔を諦めようと諦めまいと、直ぐにはこの縁談は成り立たない。
 黎翔にとっては少しからかっただけなのだ。夕鈴は今にも目を回しそうなほど悩んでいる。

 迫り来る末姫の足音。

 ここら辺が潮時か……。

 夕鈴を抱き上げて、連れ去ろうとしたその時ーーーー。

「陛下っ!」
 夕鈴は黎翔に口づけした。
 一瞬、驚いた黎翔だったが、優しく夕鈴の背中へと手を回す。

「な?!」
 そんな二人の様子を目撃した末姫は、踵を返して走り去る。

 小さな足音が遠ざかって、夕鈴はようやく唇をはなした。

「陛下、すみませんでした」
「いや、いい」

 目をギュッとつむり、当てずっぽうでの口づけは、黎翔の鼻の頭に落とされたのだった。


鼻ちゅ


「縁談除けとはいえ、私、私……!!」

 そこが唇では無かったと、当の夕鈴は気がついていないらしい。

 黎翔はクスクスと笑い出した。

「陛下?!どうなさったのですか?!」
「そうだなあ」
 黎翔は、笑ながら夕鈴を抱き上げた。
「次は、背伸びはもう少し控え目に、ね?」







***********


もう、堪らん可愛いです!(>_<)

ぴいこ先生、ありがとうございました~





SNSぴいこ様SS日記より抜粋
2014/06/12